先週のこと。
塾に来てもあまり勉強をやりたがらない小4の男子が、消しゴムで遊んでいた。

「T君、もし生まれてすぐ狼に育てられたとしたら、その子はどうなると思う?」

「えーと… ん~ さあ」

「昔他の国で狼に育てられた女の子が見つかったことがあった。たしか8~9歳くらいの。でも言葉はしゃべらずに、『ウー』とうなるだけ。食事も手を使わず口で食べている。

姿は人間だけど、しぐさ行動は狼。
保護して人間として育てようとしたけど、言葉がわからないので何もできず、間もなく亡くなってしまったそうだ。

人間って、話したり、考えたりするのは当たり前だと思っているけど、それは言葉を知っているからだよね。言葉を使わずに考えてごらん?」

「んー、できないよ」

「じゃあ、その言葉はどうやって覚えたの?」

「自然と覚えた」

「そうだよね。お母さん、お父さんが話しかけてくれたからだよね。最初『ママ』とか『パパ』と言うと、お母さんもお父さんもすごく喜んだと思うよ。そうやって、どんどん言葉を覚えていくことが学習だよね。

言葉が少ないとわからないことが多いので、勉強して言葉を増やしていくでしょ。勉強は人間らしく生きるために大切なことだよ」

「ふーん。そうなんだ」

隣であくびをしながら勉強していた小6のお姉ちゃんが、その話の後、背筋をピッと伸ばして勉強していた。

今日も「ツイてます」。