一立タイムズ R2年7月号

「素晴らしい」と無理やり思い込む!

新卒で入社した会社はスト続きで給料は遅配。嫌気がさした稲盛さんは自衛隊に転職しようとしますが、実兄の反対を受け、そのまま会社にとどまりました。鬱々とした日が続きました。会社から寮への帰り道、「故郷」を歌うと思わず涙がこぼれたといいます。

 

こぼれた涙を拭って、こんな生活をしていても仕方がない、と稲盛さんは思い直します。「自分は素晴らしい会社に勤めているのだ。素晴らしい仕事をしているのだ」と思うことにしたのです。無理矢理そう思い込み、仕事に励みました。

 

すると不思議なもので、あれほど嫌だった会社が好きになり、仕事が面白くなってくるではありませんか。通勤の時間が惜しくなり、布団や鍋釜を工場に持ち込み、寝泊まりして仕事に打ち込むようになります。仕事が楽しくてならなくなったのです。そのうちに一つの部署のリーダーを任され、赤字続きの会社で唯一黒字を出す部門にまで成長させました。そこから今では“新・経営の神様”と言われ京セラ・KDDIの創設や日本航空の再生などの躍進が始まります。

 当時稲盛さんの状況は全く変わりないのに、「自分は素晴らしい会社で素晴らしい仕事をしている」と心を切り替えただけで、本当に現実が変わってしまいました。心を切り替えると言っても辛い現実が目の前にあるので、簡単ではなかったと思います。そこを無理矢理楽しいと思い込んだ稲盛さんですが、「楽しい、楽しい」と声に出すことでも心は切り替えられます。これまでにも楽しくない勉強を、楽しみながら実行できて志望校合格できた塾生がたくさんいます。これはチョットしたコツですが、やってみると未来が大きく変わります。このような「生きるためのコツ」を「3分間セラピー」で話し、塾生のヤル気につなげています。